燗酒のつけ方 燗のつけ方いろいろ コツは、どんな手法であれ、“ゆるーく”がポイント。1〜6のつけ方であれば、ちびちび味見しながらだっていい。温度帯によって表情を変える、日本酒の魅力にどっぷり浸かってください。協力 互閃 のご主人 林 歩さん
電子レンジでチン
小ぶりの徳利に日本酒を8分目まで入れ、ラップをして30秒。いったん、取り出して徳利をゆすって撹拌させ、再びレンジで30秒チンすると、ほどよいぬるめの燗が完成。電子レンジは短時間に温度が上昇するため、全体をあたためるために、徳利をゆするのがポイント。もっと熱くしたい場合は、再びチンしてもよいが、一気に温度を上昇させるとアルコールのツンとした匂いが際立つため、ややぬるめの温度帯をおすすめしたい。
湯煎に徳利を入れてつける
徳利が肩までつかる鍋にたっぷりの水を入れて、沸騰させて火を止める。酒を入れた徳利を静かに入れ、約3分たったら引き上げて両手で全体を包み込み、底もさわって温度ムラがないか確かめる。徳利をもって軽くふり、酒を対流させ、再び湯へ。この作業を何度か繰り返す。
大ぶりの猪口ごとつける
ズボラな方におすすめなカンタン燗つけ法がこれ。沸騰させて火を止めた湯に、酒を注いだ大ぶりの猪口か湯呑み茶碗をそのままどぼん。しばらく待って、器が汗をかいて酒からほんのり湯気が立ってきたら完成。
湯煎徳利・卓上ミニかんすけ
湯煎徳利
猪口と徳利、湯煎ができる器がセットになった道具。熱々の湯を入れて徳利入れ、ちびちびと味見しながら好みの温度を探ろう。
卓上ミニかんすけ
チロリを使って卓上で燗をつけられる。約95度のお湯を入れてつければ、約1分半で45度の上燗が出来上がり。そのまま15分ほど温度を保てるのが魅力。
電気式燗どうこ
数多くの飲食店でも活用されるプロ向けの燗つけ器。お湯の温度を一定に保てるため、いつでも好みの味の燗をつけることができる。チロリは熱伝導率がよいため、比較的、早めに温度を上げることが可能に。
高嶋流・蒸シ燗
静岡県の日本酒『白隠正宗』の蔵元杜氏である高嶋一孝さんが、名古屋の老舗居酒屋『大甚本店』からヒントを得て啓蒙させている燗つけ法。高嶋流のつけかたで使う道具は、和せいろ、IH用の鍋、IHクッキングヒーター、蓋をあけなくても温度がチェックできる、コードの長い外部センサー付き温度計。
つけかたは、鍋に7分弱くらいの水を入れて湯を沸かし、せいろ内に水蒸気をためる。それから酒の入った徳利を素早く入れ、徳利の中に温度計を差し込み、すぐに蓋をしめる。あとは好みの温度になるまで蓋をする。大事なポイントは、燗がつくまでは蓋をあけないこと。湯煎でつけるよりも、滑らかで透明感がある味わいに。
文・山内聖子 呑みますライター・SSI認定唎き酒師
〝夜ごはんは米の酒〟が
『蔵を継ぐ』(双葉社)
筆者と同世代の造り手5人の酒蔵を継ぐまでの軌跡を記したノンフィクション。親の大きな負の遺産を抱えながら奮闘し、今日の日本酒人気を生み出した、知られざる彼らの熱き想いと素顔に迫る。
掲載蔵元:冩樂、廣戸川、白隠正宗、十六代九郎右衛門、仙禽